いたずら文学紀貫之子が認めまする

つらつらと書きづつけます

トゥルーノース――人間として進むべき方向性や生きる目的と知られざる北の現実。現代日本を通じて鑑みる。

皆様がなさるブログというものを青年である私もやってみようと言うので、します。

さて本日は映画を観て参りました。

作品名は「トゥルーノース」

true-north.jp

このエントリのタイトルで認めたようにこの映画には2つの意味が込められています。

たとえどんな過酷で絶望と隣り合わせであっても見失ってはならない人としての真の道筋、絶対的な羅針盤と言う意味。

もう一つは北朝鮮の強制収容所に12万人も収容されているという現実。

脱北者と呼ばれる、北朝鮮から亡命してきた人たちや元看守へのインタビューや取材を重ね、壮絶な環境で何の罪もない人たちが過酷な労働環境や暮らしを強いられている様子を私達は目の当たりにすることになります。

ということは鑑賞すると非常につらい思いをすると想像することでしょうね。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版Qとか鬼滅の刃無限列車編のように大事な人が死んだりするので確かに辛い部分はあります。

しかしエヴァはシン・エヴァを観れば「希望は残っているよ どんな時にもね」ということが理解できたり、鬼滅も無限列車編も辛い死別があろうと想いを託され繋いでいく炭治郎たちの成長と強い意思を感じ、清々しい鑑賞感があります。

本作トゥルーノースも、主人公の成長が描かれており、辛く悲しく絶望的なことがあろうとも、家族や仲間を想い、力強く前を向いて人生を生き抜いてやろうと言う意思をひしひしと感じることができます。

そのため、映画鑑賞感は爽やかです。

ただ、情報量が多いので、複雑な感情が入り乱れ、意外な結末が待ち受けているので、映画を観た後でもしばらく脳裏から離れないことでしょう。

あらすじ

在日朝鮮人の帰還事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人一家の母ユリと兄ヨハン、妹のミヒはある日、父親が政治犯の疑いで逮捕されたことで母親共々強制収容所に入れられ、地獄のような凄惨な生活を強いられます。

ヨハンは父の言いつけを遵守し、ユリとミヒを守ると誓います。

気丈な母親であるユリはどんな辛いことがあっても人としてあるべき道を兄妹に常に説いていました。

そんなある日、吃音症のインスという同年代の少年と意気投合し、互いに友として青年へと成長します。

辛い毎日にもささやかな幸せを見出したヨハンでしたが、辛いことは突然起こるものです。

あまりの極限状態に家族がおかれ、その窮地から這い上がるためにヨハンは監視グループに入り、収容者たちになりふり構わない態度にでます。

その結果ヨハンは、暮らし向きは少し上向きましたが、人の心を見失ってしまいました。

悪いことは出来ないもので因果報応、ヨハンは大切なものを失ってしまいます。

打ち砕かれた希望。

監視グループからも外され、気が違ったように落ち込んだヨハン。

主人公は一体どうなってしまうのでしょう……。

日本との関連性

あらすじでも触れたように、在日朝鮮人だった主人公たちが北朝鮮へ渡ると言う設定もあり、拉致被害者が収容所に監禁されている描写もあります。

北朝鮮の話なので、韓国との繋がりが多いのかと思いきや、意外にも日本との関わりが一番多く触れられています。

物語の中盤で、何と日本人ならだれもが知っている曲を日本語で登場人物が歌うシーンがあり、それは非常に象徴的で希望を見いだせる場面です。

北朝鮮の映画で、全世界へ配給するために英語で製作されているのですが、日本語の歌が流れることに非常に驚かされます。

どうして日本の歌でなければならなかったのかは是非御覧いただけると分かります。

朝鮮語でも英語でもなく、日本語。それしか無いです。

でも登場人物もその日本語の歌が歌えるという設定には脱帽でしたね。

意外なところでWikipediaも、北朝鮮の収容所についての情報は日本語版が一番充実しています。

韓国語版や英語版よりもです。

脱北者の認めた書籍も結構日本語版で出ています。

現に拉致被害者が強制収容所に連れ去られていると言う報告もありますので、日本人として知っておいたほうがよいでしょう。

どれほど過酷か

筆者は過去に、強制収容所に入れられ、なんとか釈放されその後脱北した人の著作を読んだことがあります。 

そのため過酷な状況は予め知っていました。

上記の著者は実体験として、韓国のいわゆるK-POPを口ずさんだだけで収容所送りになりかけたりしたそうです。

結局別件で収容所送りになってしまい……。

北朝鮮の経度は東北から北海道札幌くらいまでの範囲なので、大変に冬は寒い。

平気で氷点下になります。

ろくに布団などもないので、収容された人は男性同士で抱き合ってねます。

すると互いの体温で温められるので、なんとか乗り切ることができるそうです。

映画での登場人物たちも、それに違わぬ地獄を味わいます。

飢えや過酷な労働、不衛生、酷寒など様々な要因で人は次々に死んでいきます。

彼らをいたわる余裕はありません。

自分たちが生き延びるだけで精一杯。

そのため、まともに彼らを描くとガリガリに痩せた骸骨のような、ゾンビ映画のような出で立ちになってしまうため、敢えてポリゴンの解像度を落とし、カクカクな見栄えにしたという経緯があります。

生き延びるには希望を

絶望しか無いような状況ですが、それでも映画を見終わった後には前向きになれます。

ネタバレになるので当然記載出来ませんが、重たくて目をそらしたくなるような惨劇が続いているはずなのに、バランスが取れていて、最後まで観続けることが出来ます。

主人公が最後まで希望を見失わないからですね。

冒頭で触れたとおり、映画の結末はちょっと意外な展開になります。

不条理なところもありますが、女性は強いなと言うことを思い知らされます。

そして今コロナ禍で日本中が経済自粛を余儀なくされていることにも思い当たることがあります。

自由を奪われ、自宅にこもり、飲食店や仕事は20時までに切り上げろ、緊急事態宣言が発令されています。

でも果たしてそれは正しいのでしょうか。

まるで北朝鮮での最高司令者、収容所におけるハン所長の言動が全て正しいと言うことに重なるようです。

結局は彼らは自分たちの立場を守り、そのまま優遇された生活を続けたいがために主張しているに過ぎません

人間として生きる道は自分自身で考えて行動しましょう。

まとめ

本来であれば残酷でグロテスクなホラー映画になりそうな現状を、ポリゴンで角が立ったアニメーションと言う手法でバランスを取り、要所で主人公が立ち直ったり、困難を乗り越えていく描写が丁寧に施されています。

全年齢対象ですので、親子で観に行くのもいいでしょう。

非常に考えさせられ、心にいつまでも残る映画です。

ぜひ御覧ください!